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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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 その客を見た瞬間、ユンファは彼女を凝視してしまった。ファンタジー小説からはみ出したのかと疑いたくなる不可思議な格好に、長い長い白い髪。銀ではなく白、である。そのくせ、年は明らかにユンファより若かった。
 視線に気づいたようで、料金を手渡しながら、彼女もユンファを見てくる。
「あんた…名前は?」
「どうして名前を言わなければいけないわけ?名前を言わないと風呂にいれないような、そんな大そうな場所なの?」
 皮肉たっぷりに言われて、ユンファはため息をつく。
「いや、初めての顔だから。私はユンファ。リョン・ユンファ。」
 そこで言葉を切ったユンファに、彼女は次の言葉を待つように長い髪で片方かくれた目をユンファから外さなかった。
「あんた、髪は結ぶんだよ。絶対に湯舟に浸けないように。風呂用のゴムは自販機で売ってるから。」
 ユンファが言いたかったのは、それだけ。長い髪が湯舟につくとお湯の汚れが激しいのだ。そうなれば、お湯の入れ替えもしなければいけなくなる。
「分かった。」
 真剣なユンファの様子に気圧されたのか、素っ気ないながらも彼女は返事をしてくれた。それならいいと、ユンファはもう彼女から目を外す。
「ニルチェニア。」
「え?」
「名前。」
 もう興味なさそうに服を脱いでいる彼女、ニルチェニアの名前をユンファはしっかりと覚えた。

 銭湯では、湯舟に髪がつかないようにしましょう。

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