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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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 仕事を終えたレノリアが疲れた様相で通りを歩いてくるのに気付いて、ユンファは軽く片手を上げて声をかけた。
「レノリアじゃないか。いいところに来たね。今、ちょうどいい時間なんだよ。」
 時間外の仕事だったので、時刻は夜明けに近くなっているのに、いい時間とはどういうことだろうと足を止めたレノリアを、ユンファは馴れ馴れしく自分の銭湯に連れて行く。異邦人街の中でも低所得者層の住む区域の銭湯は、薄汚く、年季が入っている。
「家に帰って休みたいんだけど。」
 文句をいうわけではないが、僅かならぬ疲れを感じていたレノリアがそう主張すると、ユンファはひょうきんに目を丸くした。
「だからこそ、だよ。」
 銭湯にはまだ準備中の札がかかっている。この時間にくる客は少ないので、今のうちの掃除をしてしまうのだろう。掃除されたばかりの銭湯は、古いながらも清潔で、壁にヒビが入っているがそれなりに見えた。
「風呂に入っていきなさいって、ことね。」
 諦めた口調のレノリアに、ユンファはにこりと微笑んだ。
「特別なんだからね。レノリアだから、特別に招待してあげるんだよ。いつもは、私が一人占めするんだから。」
 銭湯の娘として、広い風呂を一人占めするのが日課であるらしいユンファは何故かレノリアに特別を強調する。
「私、何かあなたにしたかしら?」
 服を脱ぎながら問いかけて来たレノリアに、ユンファはぽつりと呟いた。
「自販機でお金が足りなかった時に、ジュース買ってくれたでしょ、一昨日。あの時、力使って、すっごい低血糖だったんだ。倒れそうなくらい。だから……いいから、浴びて行ってよ。」
 少し照れた風情に彼女が、確かに一昨日ものすごい悪い顔色で自販機の前で座り込んでいたのを思い出し、そうだったのかと納得するレノリア。
「でも、ただじゃないからね!」
 そこらへんは、抜け目のない彼女が、今後、レノリアに好意的な様子を見せるのは、まさに、餌付けされた犬状態であった。

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