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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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 その日、アニュスが命じられた仕事は、本人にとってはかなり不本意なものだった。マフィアのボスの逃げた猫を探せなど、この広い異邦人街でどうやって見つければいいのか。
 手がかりは少ない。白地に黒ぶちで、赤い首輪をつけていること。
 他のマフィアの人員も猫探しに駆り出されていたが、面倒くさくなったアニュスは公園に入って一休みしようと思った。その時、目に飛び込んできたのが、まさに白地に黒ぶちで赤い首輪をつけた猫を抱いている、灰色の髪に琥珀色の目、赤いパーカーの小柄な青年、フェンリルだったのだ。
「お前、その猫を渡せ。」
 最初の一言が、まず悪かった。
「はぁ?何言ってるんだ?これがお前のだという証明書でもあるのか?」
 返された言葉も決していいものではない。
 即座に二人は理解し合った。こいつとは分かり合えないと。
「いいから渡せよ!その猫はな、ものすごい方のものなんだ!」
「いかにも嘘つきそうなちゃらいマフィアに渡せるか。」
 気がつけば、わらわらとフェンリルの足元に猫や犬や鳥が集まってきて、アニュスを威嚇していた。アニュスも負けじと目をぎらつかせる。
「誰がちゃらいマフィアだ。このチビ!」
「誰がチビだ!童顔!」
「なんだと!」
 銃を抜きかけたアニュスの腕に、フェンリルの腕から飛び出した猫が噛み付いた。
「うわっ!?」
「はははっ!やっぱり警戒されてるじゃねぇか。どこが飼い主なんだよ?」
 噛み付いた後満足そうにフェンリルの足元に戻る猫に、アニュスは思わずフェンリルの小柄な体に飛びかかりかけた。しかし、足元の動物たちが噛み付き、引っ掻き、邪魔をしてくる。
「生意気なチビガキめ!死にたいのか!」
 ついにアニュスが銃を抜こうとした時、フェンリルの動作がぴたりと止まった。猫が集まっているのをじっと見ているのは、確かアニュスと同じマフィアの黒狸という男だっただろうか。
「あいつ……殺す!」
 もうアニュスには興味がないとばかりに、そちらに突進していくフェンリル。置いていかれた猫は、手の平を返して、にゃーんと可愛くアニュスに擦り寄ってきた。
「なんなんだ、あいつは。」
 呆れながらも目的の猫を抱き上げる。
 フェンリルは黒狸を追って走って消えていった。

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