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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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 そのうさぎさんがやってくるのは、月に数回、決まった日だった。
 どこかに偵察に行っているというその人物は、いつもうさぎのお面を被ってマフィアの本部にやって来た。研究室から出てきたユンファが初めて彼を見た時、思わず口走ってしまった。
「なんだい、その狂った格好は?」
「うるせぇな、ババァ。その年で脚を出してるあんたの方が狂ってるよ!」
 軽快に即座に言い返されて、ユンファは楽しくなってしまう。
「よくそんな格好で歩けるもんだね。神経を疑うよ。うさぎさんだよ、うさぎさん。ほら、みんな見ておくれ。うさぎさんが悪態ついてるよ。」
「きたねぇ顔で生きていけるあんたこそ、神経疑うな。」
「可愛い可愛いうさぎさん。お名前はなんていうんでちゅか?」
「うわっ!キモイ!このババァ、赤ちゃん言葉なんか使いやがる!」
 その日、ユンファは心の底から笑い、突っかかってくるうさぎさんが大好きになった。

 リョン・ユンファは実のところ、可愛い物が好きだ。特に小動物が大好きだ。小さい頃学校で飼われていたうさぎなんか、食べたいくらい好きだった。

 そのうさぎさんがロッペゴという名前だと知ったのは後のこと。
 ユンファは今日もレノリアのところに駆けて行って聞く。
「うさぎさんが次来るのはいつだっけ?」
「ロッペゴのこと?報告に来るのは……明後日よ。」
「ありがとう、レノリア。大好き。」
 ぎゅっとレノリアに抱きついて、スキップして研究室に戻るユンファを、レノリアは複雑そうに見送る。

 ユンファがロッペゴの傷のことを知ったのは、同僚の噂話からだった。一度銭湯に誘おうと思っていたが、それを聞いてユンファはすっぱりと諦めた。
 悪態をつこうと、言い争いし合おうと、ユンファは人の欠点を抉るようなことはしたくないし、何よりも、うさぎさんはうさぎさんだから価値があるのであって、脱いでしまえばうさぎさんでなくなるのだ。
「お、来た来た。うさぎさん。今日も小さいねー。ちゃんと食べてるのかい?」
「てめぇがでかすぎるんだよ、ババァ!行き遅れで、でかくて、真っ黒で、醜いババァだなぁ。」
「相変わらず良く動く口だね。そんな口には、これでも入れときな。」
 銭湯から持ってきたコーヒー牛乳を渡し、ユンファは満足げに胸を張る。
「牛乳でも飲んだら、ちょっとは背が伸びるかもしれないしね。」
「あんたこそ、胸が育つように飲んだらいいんじゃねぇか。まぁ、手遅れだろうけどな。」
 今日も軽口を叩き合う二人。
「今度、銭湯に遊びに来なよ。入らなくていいからさ。コーヒー牛乳の余りを上げるよ。」
「けっ!誰がババァのいる銭湯になんか行くかよ!」
 そう言って報告に向かううさぎさんの背中を、ユンファはうっとりと見送った。

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