エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。
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「ロッシ君、手伝ってくれてありがとう。」
ふんわりと笑うシエラの白い髪から、白い三角の耳が見える。白い尻尾を持つ猫の獣人シエラは、幼なじみの青年ロシエラに微笑みかけた。
ティーエの診療所で開かれた女子会の後、注文が急に増えたので、急いで仕入れた材料のダンボールを、ロシエラに運んでもらっていたのだ。
もちろん、ロシエラは男性で恥ずかしがり屋なので、表の下着が見える場所には入らないで済むようにした。それでも、ダンボールの中身が下着の材料というだけで、ロシエラは被り物の下で顔を赤くしていたような気がするのだが。
「シーちゃんのためなら、お安い御用でござるよ。」
それでも明るい声で言ってくれるロシエラに感謝の意を示す方法をしばらく考えてから、ふとシエラはもらいものの割引券を取り出した。確か、異邦人街で有名な銭湯の割引券で、お客の一人がくれたものだった。
シエラは大勢の人間がいる場所で裸になどなれなかったが、ロシエラならば使えるかもしれない。そう思い、シエラはそれを差し出した。
「これ、良かったら使って。今日の疲れを癒してね。」
微笑んだシエラに、ロシエラは渡された割引券をまじまじと見つめる。
黒い被り物をした青年がやってきても、ユンファは全く動じることはなかった。この程度で動じていたら、異邦人街で銭湯など経営できない。
「こ、これ。」
割引券を出されて、ユンファは値段を告げる。すると、慣れない様子でおどおどと青年は小銭を渡した。
「私はユンファ。あんた、初顔だね。名前は?」
馴れ馴れしく聞くと、青年はぼそぼそと答えた。
「ロシエラ・ハシュミルトでござる。」
「あぁ、そう。じゃ、ごゆっくり。」
あっさりと告げて、ユンファはもう興味ないとばかりに視線を外した。
のれんをくぐった脱衣所では、様々な年代の男性が、服を脱ぎ着している。その様子は初めて銭湯に来たロシエラには異様に見えた。
心の安定のために、飴を取り出して舐めようとした時、番台の方から声がかかる。
「うちで購入したもの以外、飲食禁止だよ!」
先程のユンファという色黒で長身の女性の声だと気付き、ロシエラは慌てて飴をしまった。しかし、どうしていいのか分からない。
脱衣所のどこで脱げばいいのか、財布などをどうすればいいのかも分からないロシエラに、眼帯をつけた青年が近寄ってきた。
「貴重品はロッカー。脱いだものは、そこの籠に入れるんだよ。」
ここで働いているらしい青年は、囁いてから急いで仕事に戻った。洗面所のタイルを磨く青年の背中に胸中で礼を言ってから、ロシエラは貴重品をロッカーに入れた。
それから、風呂がどのような場所なのかを先に確かめようと、そのまま浴室のすりガラスの扉を開けようとした瞬間。
番台から、軽やかに長身のユンファが降り立った。ホットパンツに素足の彼女は長い足ですたすたとロシエラに歩み寄り、むんずとその襟首を掴む。
「脱いでから入るんだよ!脱いでから!」
「わ、分かっているでござるよ!?」
「分かってないから、脱がずに入ろうとするんだろう!」
ユンファの手が閃いた。
あっという間に剥かれていくロシエラ。
被り物を剥がされ、黒い衣装も剥かれ、下着に手をかけられたところで、彼は悲鳴を上げた。
「や、やめるでござるぅぅぅ!僕は自分で脱げるでござるよぉぉ!」
あまりに悲痛な悲鳴に、ユンファも手を止める。
「最初からそうしてればいいんだよ。」
ふんっと鼻息荒く番台の方へ戻っていくユンファの後方で、ロシエラはへなへなとその場に座り込んだ。
「女性に、服を脱がされるなど……脱がされるなど……。」
恥ずかしさで倒れかけているロシエラに、眼帯の青年がぽんと肩に手を置いた。
「ここに来る奴の四分の一は通ってる道だから。犬に噛まれたと思って忘れるんだ。」
「恥ずかしいでござるぅ。」
泣きそうな声のロシエラを、眼帯の青年は同情する目付きで見守っていた。
ふんわりと笑うシエラの白い髪から、白い三角の耳が見える。白い尻尾を持つ猫の獣人シエラは、幼なじみの青年ロシエラに微笑みかけた。
ティーエの診療所で開かれた女子会の後、注文が急に増えたので、急いで仕入れた材料のダンボールを、ロシエラに運んでもらっていたのだ。
もちろん、ロシエラは男性で恥ずかしがり屋なので、表の下着が見える場所には入らないで済むようにした。それでも、ダンボールの中身が下着の材料というだけで、ロシエラは被り物の下で顔を赤くしていたような気がするのだが。
「シーちゃんのためなら、お安い御用でござるよ。」
それでも明るい声で言ってくれるロシエラに感謝の意を示す方法をしばらく考えてから、ふとシエラはもらいものの割引券を取り出した。確か、異邦人街で有名な銭湯の割引券で、お客の一人がくれたものだった。
シエラは大勢の人間がいる場所で裸になどなれなかったが、ロシエラならば使えるかもしれない。そう思い、シエラはそれを差し出した。
「これ、良かったら使って。今日の疲れを癒してね。」
微笑んだシエラに、ロシエラは渡された割引券をまじまじと見つめる。
黒い被り物をした青年がやってきても、ユンファは全く動じることはなかった。この程度で動じていたら、異邦人街で銭湯など経営できない。
「こ、これ。」
割引券を出されて、ユンファは値段を告げる。すると、慣れない様子でおどおどと青年は小銭を渡した。
「私はユンファ。あんた、初顔だね。名前は?」
馴れ馴れしく聞くと、青年はぼそぼそと答えた。
「ロシエラ・ハシュミルトでござる。」
「あぁ、そう。じゃ、ごゆっくり。」
あっさりと告げて、ユンファはもう興味ないとばかりに視線を外した。
のれんをくぐった脱衣所では、様々な年代の男性が、服を脱ぎ着している。その様子は初めて銭湯に来たロシエラには異様に見えた。
心の安定のために、飴を取り出して舐めようとした時、番台の方から声がかかる。
「うちで購入したもの以外、飲食禁止だよ!」
先程のユンファという色黒で長身の女性の声だと気付き、ロシエラは慌てて飴をしまった。しかし、どうしていいのか分からない。
脱衣所のどこで脱げばいいのか、財布などをどうすればいいのかも分からないロシエラに、眼帯をつけた青年が近寄ってきた。
「貴重品はロッカー。脱いだものは、そこの籠に入れるんだよ。」
ここで働いているらしい青年は、囁いてから急いで仕事に戻った。洗面所のタイルを磨く青年の背中に胸中で礼を言ってから、ロシエラは貴重品をロッカーに入れた。
それから、風呂がどのような場所なのかを先に確かめようと、そのまま浴室のすりガラスの扉を開けようとした瞬間。
番台から、軽やかに長身のユンファが降り立った。ホットパンツに素足の彼女は長い足ですたすたとロシエラに歩み寄り、むんずとその襟首を掴む。
「脱いでから入るんだよ!脱いでから!」
「わ、分かっているでござるよ!?」
「分かってないから、脱がずに入ろうとするんだろう!」
ユンファの手が閃いた。
あっという間に剥かれていくロシエラ。
被り物を剥がされ、黒い衣装も剥かれ、下着に手をかけられたところで、彼は悲鳴を上げた。
「や、やめるでござるぅぅぅ!僕は自分で脱げるでござるよぉぉ!」
あまりに悲痛な悲鳴に、ユンファも手を止める。
「最初からそうしてればいいんだよ。」
ふんっと鼻息荒く番台の方へ戻っていくユンファの後方で、ロシエラはへなへなとその場に座り込んだ。
「女性に、服を脱がされるなど……脱がされるなど……。」
恥ずかしさで倒れかけているロシエラに、眼帯の青年がぽんと肩に手を置いた。
「ここに来る奴の四分の一は通ってる道だから。犬に噛まれたと思って忘れるんだ。」
「恥ずかしいでござるぅ。」
泣きそうな声のロシエラを、眼帯の青年は同情する目付きで見守っていた。
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