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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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 遠花(ユンファ)は異邦人街の銭湯の娘である。
 ユンファにとってマフィアとは、守ってくれるものであって決して敵ではなかった。
 規律あるマフィアこそが、異邦人街の法だとユンファは思っていた。

 だから、あの告知がなされた時、ユンファは迷いなくマフィアの一員となった。

 銭湯の番台に座ってユンファは考える。
 どこかに、明日にでも死にそうな、巨万の富を遺してくれる素敵なおじいさまがいないか。
 そんなおじいさまなら結婚してもいいのにと。
 そんな彼女も34歳。大柄で骨太で長身の彼女も、こういう時だけ夢見る乙女になる。

「あ、ヘイリー、ちゃんと払ってから入りなさいよね。先払いなの!」

 夢見ている時でも、彼女は番頭の仕事を怠ったりはしないのだが。
「ユンファちゃん、まけてよ。」
「茹で殺すよ?」
「払います。」
 本気のユンファに、ヘイリーと呼ばれた優男は小銭を手渡した。
 もしも、マフィアがこの街の主となれば、この古びた銭湯も大改築して、サウナ付きのスーパー銭湯にできるだろう。その暁には、きっともっとお金が入るはず。
 男湯も女湯も目を光らせるユンファの心を占めるのは、色気ではなく、金勘定でしかない。

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