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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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 その二人が銭湯ののれんをくぐった時、ユンファは素直に父子だと思った。やたらと長身な赤毛の中年男に、元気の良さそうな大きな目の草色の髪の少年。
「届かないよ、ノヴァ、お願い。」
「仕方ないな。」
 少年から小銭を受け取って、男はユンファに手渡す。大きな手から体温の残る小銭がユンファの褐色の手に渡った。
 脱衣所に入ってからふと気付いたように、ノヴァと呼ばれた男が小声で少年に問いかける。
「パンテラ、良かったのか、こっちで?」
「良かったも何も、俺、こっちしか入れないよ?」
「でも、性別……。」
 その話を聞きつけた地獄耳、ユンファががたっと番頭台から立ち上がる。最近、女の格好をして男湯に来たり、弟を追いかけて姉が入ろうとしたり、妙なことが多かった。もしかすると、この少年も。
「あんた、性別は?」
「男だよ!」
 少年、パンテラは堂々と答えた。しかし、疑り深くなっていたユンファは、躊躇うことなく彼のズボンとパンツを引きずり下ろした。
 股間にちゃんと一物がぶら下がっていることに満足して、下ろしたズボンを戻すことなく、さっさと番頭台に戻ろうとするユンファ。
「な、何しやがる!」
 ズボンが引っかかるのでひよこのようなヨチヨチ歩きになりながら、パンテラはユンファのホットパンツを引っ張った。
「触るんじゃないよ。まだ剥けてもいないようなガキが。」
 すらりと長い足で軽く払われて、パンテラはその場にずっこける。
「クソババァ!」
「そうだよ。そのクソババァにちんちん見られたのが、あんた。あぁ、かわいそう。」
 悪態にもけろりとしているユンファに、ノヴァが吹き出す。
「俺のは見ないでほしいな。」
 けだるい雰囲気で「いやぁん。」とふざけるノヴァに、パンテラは真っ赤になって怒っている。
「見たら金くれるんだったら見てやるよ。そうじゃなきゃ、見たくもないね。」
 その言葉に、ノヴァは下半身丸出しのパンテラを立たせてやりながら、苦笑した。
「そんないいモノ、ついてたっけ?」
「ノヴァ、俺、このババァ、嫌い!」
「よしよし。」
「子供扱い、すんな!」
 怒り心頭のパンテラを、適当に宥め一層怒りを煽るノヴァ。

 今日も銭湯は平和だと、休憩時間をもらって母屋でお茶を飲んでいるキーリのところにも、その怒鳴り声は聞こえてきていた。

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