エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。
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ない左足が、痛んだ気がした。
毎年の検診で、ヴィネリアが声をかけられるのは、いつものことだったが、今年は声をかけた相手が違った。
幼少期に失った足は、義足にしても成長とともにそれを調整していかなければいけない。多少ならばそのままで調整できるが、成長が著しい時には全て作りかえることもある。
「今年から、君の主治医になった、アルさんだよぉ。幻視痛がぁあるでしょぉ?そういうのもぉ、ちゃんと報告しないと駄目だよぉ。」
極彩色の髪色、ひし形に空いた制服の胸から見える胸の谷間とブラジャーのレース、青か緑か分からない目の色、甘えたような鼻にかかった間延びする声。
とにかく、その女は変だった。
「痛みが出たらぁ、すぐにアルさんにお電話だよぉ。」
渡された名刺には虹色のグラデーションでアルフォンソとやたら可愛い活字で書いてある。その下に、丸っこい字で電話番号が書いてあった。
「分かりました。」
色々言っても無駄な時間をとるだけだと、従うふりをするヴィネリアに、アルフォンソはにっこりと笑いかける。
「分かったのぉ。いいお返事だねぇ。」
ぐりぐりと頭を撫でられて、ヴィネリアは歪みそうになる表情をなんとか平静に保つ。
そこそこ長身のアルフォンソはヴィネリアより少しだけ背が低い。
「撫でないで下さい。」
すっと手を払いのけても、アルフォンソは嫌な顔をしなかった。それどころか、人懐っこく寄ってくる。
「だってぇ、君は19歳。アルさんは29歳。それにぃ、アルさんはお医者さんだからぁ、ちょっとは甘えても、いいんだよぉ?」
甘える。
その言葉に嫌悪感を抱くヴィネリア。
「失礼します。」
そっけなく診察室を出て行こうとしたヴィネリアに、アルフォンソは小首を傾げた。
「失礼なんかじゃ、なかったよぉ?アルさん、ヴィネリアくんに会えて嬉しかったけどぉ。」
真っすぐすぎる言葉に、ヴィネリアは返事すらせず、歩き出した。
「あ!ヴィネリアくんだ。何食べてるのぉ?アルさんも食べたぁい。一口ちょうだいね。」
食堂で会った瞬間に、駆け寄ってきたアルフォンソに、食べていたペペロンチーノの皿にフォークを突っ込まれて、ヴィネリアは唖然とした。仲のいい相手でも食べ物のやり取りをするのはためらわれるのに、今日初めて会った相手の食べかけのペペロンチーノにいきなりフォークを突っ込んでくるなど。
「やめて下さい、汚らしい!」
思わず本音が出てしまったが、そんなこと全く気にせずに、アルフォンソはすでに口に運んでいた。
「おいしーい!これ、ルーカくんが作ったのだねぇ。ルーカくんのはぁ、パスタの茹で加減とぉ塩加減が他の人とぉ違うんだよねぇ。おいしーい!」
歓声を上げて、止める間もなく二口三口と口に運ぶアルフォンソ。ヴィネリアが唖然としている間に、皿いっぱいのペペロンチーノは半分以下に減っていた。
「止めて、下さい……。」
もう疲労感しか覚えなくなって頭を抱えるヴィネリアに、アルフォンソははたと気付いてフォークを止めた。
「ごめんねぇ、アルさん、食べすぎちゃったぁ。すぐに作ってもらうからぁ。」
言いながら、ぱたぱたと調理場の方に向かうアルフォンソ。
「ルーカくん、ペペロンチーノお代りと、カルボナーラ大盛りでぇ!」
「また大盛りかよ!今日はこぼすんじゃねーぞ!」
プラチナブロンドの長身の青年、ルーカに言われてアルフォンソは、へへっと笑う。
ぱたぱたと戻ってきたアルフォンソだが、ヴィネリアがもう食べようとしないのに首を傾げる。
「もう食べないのぉ?」
他人に食べられた料理など口をつけたくないと正直に言うのも癪だったので、ヴィネリアは無言で皿をアルフォンソの前に突き出した。アルフォンソの顔がぱぁっと明るくなる。
「くれるの?食べていいのぉ?ありがとぉ!ヴィネリアくん、大好きぃ!」
座った状態で横から抱きしめられて、生の胸に顔を埋める形になってヴィネリアは慌てる。
「だ、大好き!?」
「うん!アルさん、ルーカくんのパスタ、大好きなのぉ。パスタくれるヴィネリアくんも、だぁいすき!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、ヴィネリアは必死になって抵抗した。
「き、気軽に、抱きつかないでもらえますか?」
「駄目なのかなぁ?」
きょとんとしているアルフォンソは、変だが明らかに美女で。
ヴィネリアは今後の治療のことを考えて頭を抱えた。
毎年の検診で、ヴィネリアが声をかけられるのは、いつものことだったが、今年は声をかけた相手が違った。
幼少期に失った足は、義足にしても成長とともにそれを調整していかなければいけない。多少ならばそのままで調整できるが、成長が著しい時には全て作りかえることもある。
「今年から、君の主治医になった、アルさんだよぉ。幻視痛がぁあるでしょぉ?そういうのもぉ、ちゃんと報告しないと駄目だよぉ。」
極彩色の髪色、ひし形に空いた制服の胸から見える胸の谷間とブラジャーのレース、青か緑か分からない目の色、甘えたような鼻にかかった間延びする声。
とにかく、その女は変だった。
「痛みが出たらぁ、すぐにアルさんにお電話だよぉ。」
渡された名刺には虹色のグラデーションでアルフォンソとやたら可愛い活字で書いてある。その下に、丸っこい字で電話番号が書いてあった。
「分かりました。」
色々言っても無駄な時間をとるだけだと、従うふりをするヴィネリアに、アルフォンソはにっこりと笑いかける。
「分かったのぉ。いいお返事だねぇ。」
ぐりぐりと頭を撫でられて、ヴィネリアは歪みそうになる表情をなんとか平静に保つ。
そこそこ長身のアルフォンソはヴィネリアより少しだけ背が低い。
「撫でないで下さい。」
すっと手を払いのけても、アルフォンソは嫌な顔をしなかった。それどころか、人懐っこく寄ってくる。
「だってぇ、君は19歳。アルさんは29歳。それにぃ、アルさんはお医者さんだからぁ、ちょっとは甘えても、いいんだよぉ?」
甘える。
その言葉に嫌悪感を抱くヴィネリア。
「失礼します。」
そっけなく診察室を出て行こうとしたヴィネリアに、アルフォンソは小首を傾げた。
「失礼なんかじゃ、なかったよぉ?アルさん、ヴィネリアくんに会えて嬉しかったけどぉ。」
真っすぐすぎる言葉に、ヴィネリアは返事すらせず、歩き出した。
「あ!ヴィネリアくんだ。何食べてるのぉ?アルさんも食べたぁい。一口ちょうだいね。」
食堂で会った瞬間に、駆け寄ってきたアルフォンソに、食べていたペペロンチーノの皿にフォークを突っ込まれて、ヴィネリアは唖然とした。仲のいい相手でも食べ物のやり取りをするのはためらわれるのに、今日初めて会った相手の食べかけのペペロンチーノにいきなりフォークを突っ込んでくるなど。
「やめて下さい、汚らしい!」
思わず本音が出てしまったが、そんなこと全く気にせずに、アルフォンソはすでに口に運んでいた。
「おいしーい!これ、ルーカくんが作ったのだねぇ。ルーカくんのはぁ、パスタの茹で加減とぉ塩加減が他の人とぉ違うんだよねぇ。おいしーい!」
歓声を上げて、止める間もなく二口三口と口に運ぶアルフォンソ。ヴィネリアが唖然としている間に、皿いっぱいのペペロンチーノは半分以下に減っていた。
「止めて、下さい……。」
もう疲労感しか覚えなくなって頭を抱えるヴィネリアに、アルフォンソははたと気付いてフォークを止めた。
「ごめんねぇ、アルさん、食べすぎちゃったぁ。すぐに作ってもらうからぁ。」
言いながら、ぱたぱたと調理場の方に向かうアルフォンソ。
「ルーカくん、ペペロンチーノお代りと、カルボナーラ大盛りでぇ!」
「また大盛りかよ!今日はこぼすんじゃねーぞ!」
プラチナブロンドの長身の青年、ルーカに言われてアルフォンソは、へへっと笑う。
ぱたぱたと戻ってきたアルフォンソだが、ヴィネリアがもう食べようとしないのに首を傾げる。
「もう食べないのぉ?」
他人に食べられた料理など口をつけたくないと正直に言うのも癪だったので、ヴィネリアは無言で皿をアルフォンソの前に突き出した。アルフォンソの顔がぱぁっと明るくなる。
「くれるの?食べていいのぉ?ありがとぉ!ヴィネリアくん、大好きぃ!」
座った状態で横から抱きしめられて、生の胸に顔を埋める形になってヴィネリアは慌てる。
「だ、大好き!?」
「うん!アルさん、ルーカくんのパスタ、大好きなのぉ。パスタくれるヴィネリアくんも、だぁいすき!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、ヴィネリアは必死になって抵抗した。
「き、気軽に、抱きつかないでもらえますか?」
「駄目なのかなぁ?」
きょとんとしているアルフォンソは、変だが明らかに美女で。
ヴィネリアは今後の治療のことを考えて頭を抱えた。
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