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エデンの鍵に関する情報を置いていくブログ。 時に短編小説もあるかも?
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「つまり、ユンファちゃんは何もしなくていいんだよ。」
 黒狸の言葉に、ユンファは「ふぅん。」と口元に手をやる。
 説明は簡単だった。
 黒狸とユンファの星を取り替えること。そして、ユンファはそれを守っているだけでいいということ。
 元々戦いに特化していないユンファにとって、それは願ってもない申し出だったし、何よりも、何もしなくてもいいというのが気に入った。
 ただ、問題は一つ。
「守りきったら、いくら払うんだい?」
 星を持っている以上、他人のものとはいえ、被害がユンファに来ることもあるわけで。
 その件に関しても、黒狸は十分な額を提示した。

 そういうわけで、ユンファは基本的にゲームが始まっても、紅龍会の研究室に行くか、銭湯で働くかという、いつも通りの生活を続けていた。銭湯に誰かきたら、「公共物を壊してもいいのかい?」という脅し文句で追い返せばいいだけのこと。
「それにしても、深夜営業ができなくなるってのは、困りものだねぇ。ボスは星を手に入れた奴にはボーナスを出すって言ってるけど。」
 小耳に挟んだリスを捕えるゲームのことだが、どうすればいいのかユンファ
にはよく分からない。リスなど食べたことも飼ったこともなかったから。
 それでも、星が手に入れたくて、ユンファは必死に考えた。

 その結果。

 深夜二時の森の中で、籠とひもの付いた棒という非常に原始的な罠をはり、茂みに巨大な身を隠すユンファの姿があった。身を縮めて体操座りをしているユンファは欠伸を噛み殺しながらリスを待つ。
 その餌は。

 五百円玉。

 ユンファの銭湯は三百円で一回入浴できる。それを考えれば破格の値段だが、彼女はリスが金に興味がないなどさらさら思っていない。
 ひたすら待つこと一時間。
 足がしびれて眠くなってきた頃に、何かが走ってきた。
 ユンファはすかさずひもを引く。
 棒が倒れ、かぶさる籠。

 五百円玉を握りしめた、キリシュの手の上に。

「あんた!何邪魔してるんだよ!」
「うわぁ!?姐さん!?」
 そして、蹴られるキリシュであった。

 後日。
「ごめん、ユンファちゃん。ユンファちゃんの星、取られちゃったんだよね。」
 黒狸が報告に来る。
「そんなんだと思ってたよ。料金二割増しね。」
 ユンファは平静に答えた。

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